「気候変動リスク情報の活用促進に向けた公開シンポジウム ~気候変動の物理的リスク分析の展望~」を開催しました。

開催日 2022年10月11日
開催地
  • オンライン開催(Zoomウェビナー)

環境省、文部科学省、国土交通省、金融庁、国立環境研究所は「気候変動リスク産官学連携ネットワーク」の活動の一環として「気候変動リスク情報の活用促進に向けた公開シンポジウム~気候変動の物理的リスク分析の展望~」を開催しました。

774名の方にお申込みを頂き、事後アンケートには約285名の方からご回答をいただきました。以下、各プログラムの概要および事後アンケート集計結果の一部をご報告します。(参加者の属性についてはこちらからご確認いただけます。)

シンポジウム冒頭

プログラム 登壇者
挨拶&説明 環境省
地球環境局長 松澤 裕 氏
基調講演
「気候関連開示の国際潮流と物理的リスク」
東京海上ホールディングス株式会社
フェロー(国際機関対応)長村 政明 氏

シンポジウム冒頭では、環境省からの挨拶後に東京海上ホールディングス株式会社長村様より基調講演を頂きました。[図1 基調講演の感想]は、参加者から得られた基調講演に対する感想です。98%の回答者からは、基調講演が参考になった旨の回答を頂きました。また、[参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図1 基調講演の感想 参加者からのコメント
  • ちょっと知識不足でついていけないところがありましたが,国際状況を概観できた気がします。
  • 物理リスクがあることは、認識しておりましたが、具体的に投資にどう生かされるかは分かりませんでした。今回教授いただき、大変参考になりました。
  • 専門外の人間にとってはTCFD関連文書以外は何をどう探せばいいかもわからない状態であったため、FSBを始めとする機関の動向や参考となる資料を紹介いただけたことが非常にありがたかったです。
  • 企業側の対応を拝聴することができ、参考になった。
  • 物理的リスクについて理解が深まりました。
シンポジウムの様子(冒頭、基調講演)

プログラム第1部

プログラム 登壇者
【第1部:気候変動リスク情報の活用事例】
講演
「JR東日本におけるTCFD提言の取組み」
東日本旅客鉄道株式会社 グループ経営戦略本部 経営企画部門
ESG・政策調査ユニット マネージャー
矢野 順一 氏
講演
「農林中央金庫のTCFDシナリオ分析(物理的リスク)」
農林中央金庫
統合リスク管理部 部長代理 中井 義雄 氏
講演
「気候と社会をシームレスにつなぐビジネスの役割」
株式会社 Gaia Vision
代表取締役社長 北 祐樹 氏

第1部では、各企業より気候変動リスク情報の活用事例をご紹介頂きました。下記[図2 第1部の感想]は、参加者から得られたプログラム第1部に対する感想結果です。98%の回答者は、第1部が参考になった旨を回答しています。また、[第1部の参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図2 第1部の感想 第1部の参加者からのコメント
  • 物理的リスク、例えば氾濫シミュレーションを行う際の負担感について、情報提供願いたい。
  • 各社優れた取り組みをされていることはもちろんですが、問題意識を持ってから迅速に行動をされているのが何より素晴らしいと思いました。
  • 鉄道の物理的リスク対策について具体的な話が伺えて、大変参考になりました。
  • 具体的な把握プロセス、活用方法を説明いただき、自社に置き換えてイメージがつきやすかった。
  • 適応にフォーカスした発表はあまりないので、大変参考になりました。
  • 農林中金様の説明が非常に良かった。物理的リスクの定量分析結果をリスク管理の高度化に活用している点が素晴らしいと感じた。
  • 気候変動が稲作に与える影響など本来あるべき物理的リスクの話が聞けて良かった。
  • ひとつの会社や金融機関への影響について具体的なセンシティビティ分析をご教示いただき、大変参考になりました。
  • メーカーさんの事例も欲しかったですね。生産拠点、営業拠点、サプライチェーンなど多様なステークホルダーと接しているので、気候変動リスクの影響がどのように波及していくのかを知りたいですね。
シンポジウムの様子(第1部)

プログラム第2部

プログラム 登壇者
【第2部:気候変動リスク情報の活用促進に向けた課題と今後の展望】
省庁及び研究機関からの取組紹介 ファシリテーター
  • 国立環境研究所 理事長 木本 昌秀
パネリスト
  • 環境省 地球環境局 総務課
    気候変動適応室長 塚田 源一郎 氏
  • 文部科学省 研究開発局 環境エネルギー課
    環境科学技術推進官 久芳 全晴 氏
  • 国土交通省 水管理・国土保全局 河川計画課
    河川技術調整官 荒川 泰二 氏
  • 金融庁 総合政策局 総合政策課
    サステナブルファイナンス推進室室長 西田 勇樹 氏
  • 東京海上ホールディングス株式会社
    フェロー(国際機関対応) 長村 政明 氏
  • 東日本旅客鉄道株式会社 グループ経営戦略本部 経営企画部門
    ESG・政策調査ユニット
    マネージャー 矢野 順一 氏
  • 農林中央金庫 統合リスク管理部
    部長代理 中井 義雄 氏
  • 株式会社 Gaia Vision
    代表取締役社長 北 祐樹 氏
  • 京都大学 防災研究所
    副所長・教授 森 信人 氏
  • 国立環境研究所 気候変動適応センター
    主幹研究員 岡 和孝
Q&Aセッション
パネルディスカッション

第2部では、省庁及び研究機関からの取組紹介、講演企業への質疑応答、及びパネルディスカッションを行いました。下記、[図3 第2部の感想]は、参加者のプログラム第2部に対する感想結果です。95%の回答者は、第2部が参考になった旨を回答頂きました。また、[第2部の参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図3 第2部の感想 第2部の参加者からのコメント
  • 日本での取組を国際標準にする取組、その障害についてもセッション願いたい。
  • 気候変動に関するデータの利活用は自社も大きな課題と感じていたが、世の中でも同様の課題であり、今後の様々な変化に期待したい。(自社の変化も含む)
  • 課題など良く分かるが、だからどうして行く、行こうが欲しかった。次回以降に期待します。
  • 気候変動のデータソースについての理解が深まった。
  • 気候データの提供側と利用側の良い点、改善点が判り易い内容でした。
  • TCFD向けの浸水深算定方法を体系化してほしい。
  • データ活用等が一般企業では難しいという意見に賛成です。より活用が容易になればと思います。
  • もう少し踏み込みを期待していた。
  • 公的データセットの流れがよくわかった。
シンポジウムの様子(パネルディスカッション)

下記[図4 今後詳しく知りたいトピック]は、今後より詳しく知りたいトピックについて、該当するトピックを選択した回答者数を示しています。また、[「その他」の内訳]では、「その他」を選択した回答者のコメントの一部をご紹介します。

図4 今後詳しく知りたいトピック 「その他」の内訳
  • アジア太平洋地域で求められる適応策・緩和策について
  • 情報開示を担当しているためリスク対応に関する具体的事例について知りたい
  • 各種気候変動情報プラットフォームの使い方
  • 人間を含む生き物をこれからも持続させることのできる抜本的改革

以上、回答者の皆様には、おおむね高いご評価をいただきました。一方、課題や改善点ついても具体的なご指摘をいただきました。また、本シンポジウムに関するご意見・ご要望や省庁・主催機関に対するご要望もお寄せいただきました。ご協力に感謝しております。国立環境研究所気候変動適応センターでは、今後とも皆様からの要望を踏まえながら活動していく所存です。

講演資料や講演動画、また参加者に事前にとったアンケートの結果概要を下記リンクからご確認頂けます。

(2022年11月24日掲載)

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