「気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム~気候変動リスクに対する企業のレジリエンス強化に向けて~」を開催しました。

開催日 2023年11月28日
開催場所 オンライン(Zoomウェビナー)

環境省、文部科学省、国土交通省、金融庁、国立環境研究所は「気候変動リスク産官学連携ネットワーク」の活動の一環として「気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム~気候変動リスクに対する企業のレジリエンス強化に向けて~」を開催しました。

650名の方にお申込みを頂き、事後アンケートには206名の方からご回答をいただきました。以下、各プログラムの概要および事後アンケート集計結果の一部をご報告します。

■第1部:気候変動リスクに関する非財務情報開示の動向と金融機関の対応

プログラム 登壇者
講演
「ISSBの確定基準」
IFRS財団 ISSB理事
小森 博司 氏
講演
「気候変動に伴うリスクに対する千葉銀行の取組」
千葉銀行
経営企画部 SDGs推進室長
石井 廉 氏
講演
「投資家の観点から見た企業の気候変動リスクへの対応」
日興リサーチセンター株式会社
取締役研究所担当 カーボンプライシング研究室長
本山 真 氏

第1部では、ISSBの確定基準や気候変動リスクに関する事業者の取組等についてご講演いただきました。
[図1 第1部の感想]は、参加者から得られた第1部に対する感想です。94%の回答者からは、第1部の講演が参考になった旨の回答を頂きました。また、[参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図1 第1部の感想 参加者からのコメント
  • ISSBのS1,S2の設計思想や位置づけ、内容を読み解くことの重要性が大変よく分かった。
  • 情報開示に向けた十分な準備が必要であると感じた。
  • ISSBによって乱立する指標が統一される意義は非常に大きいと考えます。
  • 総括的に情報収集できた。
  • 企業の対応について時系列を含めたわかりやすい解説で、参考となりました。
  • 地域の金融機関の指導的役割の重要性が理解できた。
  • 現在の動向が把握でき、参考になった。
  • 専門外の内容で理解できない部分が多かったが、サステナビリティ開示が重要な世界になったと感じた。
  • グローバルな気候変動リスク情報開示の動向と、国内の地域での取組事例について知ることができ、大変勉強になりました。

■第2部:TCFD対応におけるサプライチェーンリスクへの対応と機会の活用

プログラム 登壇者
講演
「気候変動リスク・機会に対するサステナビリティビジネスモデルを通じた取り組み」
株式会社ブリヂストン
G環境戦略推進部長
中島 勇介 氏
講演
「東レのTCFD対応におけるサプライチェーンリスクへの対応と機会の活用について」
東レ株式会社 常任理事経営企画室担当
サステナビリティイノベーション戦略グループ
野中 利幸 氏

第2部では、各企業より気候変動リスク情報の活用事例をご紹介いただきました。下記[図2 第2部の感想]は、参加者から得られたプログラム第2部に対する感想結果です。93%の回答者は、第2部が参考になった旨回答しています。また、[参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図2 第2部の感想 参加者からのコメント
  • TCFDへの対応について大変勉強になりました。
  • 個社対応だけの問題ではなく、サプライチェーン全体の問題であることがよく分かった。 また、一次サプライヤーだけでなく二次サプライヤーの情報を取りに行くことの難しさを考えると、どのようにリスク把握と対応を進めるとよいのかは非常にハードルの高い課題と感じた。
  • 企業と取り組みについてのフレームワークが理解できた。
  • 大企業における事例として、どこにフォーカスをして対応しているかがはっきりと分かり有益でした。中堅・中小企業の事例が含まれているとなお有益だったと感じております。
  • 企業の気候変動リスクと機会の評価と対策への取組みが参考になった。
  • 地域の金融機関の指導的役割の重要性が理解できた。
  • 企業特性を踏まえたリスク対応と機会活用について、各企業から丁寧かつ有意義な説明を頂いたと感じています。
  • TCFDとTNFDが密接であり、企業活動へのリスクとなることに対し、各企業の向き合い方が分かった。
  • 企業での具体的な取り組みの先進事例について、大変興味深く拝聴いたしました。今後の更なる取り組みの進展に期待しております。

■第3部:気候変動対策に関連する国の取組と最新の科学的知見

登壇者
文部科学省 研究開発局 環境エネルギー課 環境科学技術推進官 松原 太郎 氏
国土交通省 水管理・国土保全局 河川計画課 河川技術調整官 小澤 盛生 氏
金融庁 総合政策局 総合政策課 サステナブルファイナンス推進室 亀井 茉莉 氏

第3部では、省庁から国の取組についてお話いただきました。[図3 第3部の感想]は、参加者から得られた第3部に対する感想です。87%の回答者から、第3部の講演が参考になった旨の回答をいただきました。また、[参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図3 第3部の感想 参加者からのコメント
  • 各省の気候変動対策への企業の取組みに対する情報や解析ツール開発提供を進めていることが理解できた。
  • 各機関による取り組みを理解できました。長期的展望を含めて今後推進される研究・開発についてもう少し話題提供を期待しています。
  • 非常に注力して取組がなされていることがよく分かりました。HPなどで開示されてことなどをよく利用というか学んでいかなければという思いを強くしました。
  • 参考資料・データ等の説明は有益でした。
  • 国の取組と最新の科学的知見は、情報源が広いためか、うまく情報収集ができていないため、この機会は大変参考になりました。
  • 文科省での地球ビッグデータの活用、国交省での洪水リスク評価フローの提供、金融庁のサステナブルファイナンスの重要性など、取り組みが知れた。
  • 国が提供している具体的なツールや施策等について改めて学ぶことができました。

■第4部:パネルディスカッション【気候変動リスクに対する企業のレジリエンス強化に向けて】

プログラム 登壇者
Q&Aセッション
パネルディスカッション

【パネリスト】

  • 環境省 地球環境局 総務課 気候変動適応室長  中島 尚子 氏
  • IFRS財団 ISSB理事  小森 博司 氏
  • 千葉銀行 経営企画部 SDGs推進室長 石井 廉 氏
  • 日興リサーチセンター株式会社 取締役研究所担当 カーボンプライシング研究室長  本山 真 氏
  • 株式会社ブリヂストン G環境戦略推進部長  中島 勇介 氏
  • 東レ株式会社 常任理事経営企画室担当 サステナビリティイノベーション戦略グループ  野中 利幸 氏

【モデレーター】

  • 国立環境研究所 気候変動適応センター 主幹研究員 岡 和孝

第4部では、講演企業への質疑応答およびパネルディスカッションを行いました。下記、[図4 第4部の感想]は、参加者の第4部に対する感想結果です。81%の回答者から、第4部が参考になった旨回答頂きました。また、[参加者からのコメント]では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図4 第4部の感想 参加者からのコメント
  • 質疑応答やディスカッションの内容は現状を反映した示唆を含んだもので、参考となりました。
  • 第1部×第2部×第3部のクロストーク(3×2の順列組合せ)の企画を期待します。
  • 個々の講演の補足という意味合いで有益でした。
  • 各業種の取り組みや問題点が理解できました。
  • パネリストの皆様の気候変動対策への取り組みに掛ける情熱が感じられて、大変心強いと思いました。情報開示の目的化をしない、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要とのメッセージは、まさに今後ますます重要になってくる考え方だと思いました。
  • 多様な問題についてご回答いただき大変参考になりました。

■シンポジウム全体

下記[図5 全体の感想]は、参加者のシンポジウム全体に対する感想です。「参加者からのコメント」では、回答者のコメントの一部をご紹介します。

図5 全体の感想 参加者からのコメント
  • 産官学が議論して問題を共有して進める取り組みはとても良いと思います。
  • 各分野の専門の方々からそれぞれの視点で気候変動対応の考え方をお聞きすることができ、大変参考になりました。
  • これからの数年間は多様な変化があると想定されますので、ぜひシンポジウムの継続を期待しています。
  • 国内外での動きが有る際は、この様なシンポジウムで動向や様々な意見を出してもらえると有益かと思います。
  • 内容が豊富で十分ついてゆけなかったが参加してよかったシンポジウムであったと思います。
  • 無料セミナーは、営業活動的な要素が強い物もありますが、本セミナーはそのようなものもなく、純粋に地球環境への取組みについて勉強することができました。
  • 同様のテーマで他の企業、あるいは中小企業の取り組みなどが聞けたら良い。
  • 登壇者の幅が広く様々な意見を聞けるシンポジウムであり、とてもよかった。

以上、回答者の皆様には、おおむね高いご評価をいただきました。一方、課題や改善点についても具体的なご指摘をいただき、さらに、本シンポジウムに関するご意見・ご要望も頂戴いたしました。アンケートへのご協力に感謝申し上げます。国立環境研究所気候変動適応センターでは、今後とも皆様からいただいたご意見やご要望を活かしながら活動していく所存です。

一部の講演資料や講演動画、また事前にいただいたアンケートの結果概要を下記リンクからご確認頂けます。なお、特設サイトの講演資料・動画は2024年2月末に削除予定となっておりますことご了承ください。

出典・関連情報
(2024年1月24日掲載)

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