工事現場における熱中症対策事例集

掲載日 2024年1月12日
分野 健康 / 普及啓発
地域名 関東(東京都)

気候変動による影響

東京都(千代田区)では年平均気温が100年あたり約2.5℃の割合で上昇しています。また、猛暑日や熱帯夜は、特に1990年代以降急激に増加しており、産業や生態系など広い分野への大きな影響に加え、健康被害の増大が懸念されています。

取り組み

東京都は工事現場をより安全で働きやすい労働環境とするため、工事現場での安全管理における優良事例を取りまとめた「工事災害防止に向けた優良事例集」を作成しています。2022年3月には、42事例を追加する更新が行われました。

「工事災害防止に向けた優良事例集」では、環境改善分野の他にも墜落・転落防止、建設機械事故防止、交通災害防止等9つの分野に置ける優良事例を掲載しており、工事現場のより一層の安全性向上を目指しています。

その中で、職場環境改善に分類された「周辺住民又は現場作業員等が快適に過ごせる職場環境や安全衛生に寄与する取組み(熱中症対策や新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を含む)」では、熱中症対策に関する優良事例が紹介されています。

取組事例①
個人の症状や休憩時間に合わせて利用しやすいよう、冷水器・製氷機・かき氷機・塩飴・シャワー室など多様な対策グッズを工事の実施業者が現場に用意する取組み(図1)。

取組事例②
電動ファンのついた空調服の着用の奨励や作業員のシャツに検知器を取り付けて体調変化や転倒などの状態を検知し、管理者のパソコンや作業員のスマートフォンに通知してリスクの見える化を行い、危険時にアラートを鳴動させる等のIoTを活用した取組み(図2、図3)。

また、上記の他にも、日よけハットの着用、ミストシャワー・ミストファンの設置、仮設テントによる日陰の設置、WBGT値の共有、熱中症警報器の着用、体調確認チェックシートの活用等の事例が掲載されています。

効果/期待される効果等

建設業は、業種別の熱中症による死傷者数の数が最も多くなっています(2017年~2021年計)。本事例集により熱中症対策事例を普及させていくことで、工事現場における安全性の向上が期待されます。

熱中症対策グッズとシャワー室
図1 熱中症対策グッズとシャワー室
(出典:東京都技術会議「工事災害防止に向けた優良事例集」(令和5年3月更新))
電動ファンのついた空調服
図2 電動ファンのついた空調服
(出典:東京都技術会議「工事災害防止に向けた優良事例集」(令和5年3月更新))
ウェアラブルIoTによる熱中症危険情報の通知
図3 ウェアラブルIoTによる熱中症危険情報の通知
(出典:東京都技術会議「工事災害防止に向けた優良事例集」(令和5年3月更新))

出典・関連情報

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