自然災害・沿岸域自然災害・沿岸域への適応策

適応水害の適応策

基本的な施策

適応策の基本的な考え方

写真比較的発生頻度の高い外力に対しては、これまで進めてきている堤防や洪水調節施設、下水道等の整備を引き続き着実に進めるとともに、適切に維持管理・更新を行う。

これらにより、水災害の発生を着実に防止することを目指す。その際には、諸外国の施策も参考にして、気候変動による将来の外力の増大の可能性も考慮し、できるだけ手戻りがなく追加の対策を講ずることができる順応的な整備・維持管理等を進める。

施設の能力を上回る外力に対しては、施設の運用、構造、整備手順等の工夫により減災を図るとともに、災害リスクを考慮したまちづくり・地域づくりの促進や、避難、応急活動、事業継続等のための備えの充実を図る。これらにより、人命・資産・社会経済の被害をできる限り軽減することを目指す。

まちづくりや避難等に係る対策を促進するにあたっては、様々な外力に対する浸水想定等に基づき、地方公共団体、企業、住民等が、どのような被害が発生するかを認識して対策を進める。

特に、施設の能力を大幅に上回る外力に対しては、最悪の事態を想定し、国、地方公共団体、公益事業者、企業等が、主体的に連携して、ソフト対策に重点を置いて対応することにより、一人でも多くの命を守り、社会経済の壊滅的な被害を回避することを目指す。

災害リスクの評価

写真対策の主体となる地方公共団体、企業、住民等がどの程度の発生頻度でどのような被害が発生する可能性があるかを認識して対策を進める必要があるため、各主体から見て分かりやすく、きめ細かい災害リスク情報を提示する。

単一の規模の外力だけでなく様々な規模の外力について浸水想定を作成して提示するとともに、床上浸水の発生頻度や人命に関わるリスクの有無、施設の能力や整備状況等についても提示する。

各主体が参画する様々な協議会等を活用して、災害リスク情報を共有し、対策の促進を図る。

各主体が対策を進める上で必要となる具体的な被害の想定にあたっては、氾濫域における人口や資産の集積状況、インフラ・ライフラインや病院・福祉施設等の立地状況、産業構造・産業立地の状況、高齢化の状況等、地域の実情に応じた検討を行う。

最悪の事態も想定した対策の検討のため、浸水想定区域の指定の対象とする外力を、想定し得る最大規模のものとするとともに、洪水だけでなく、内水、高潮も対象とする。その際、地方公共団体、企業、自治組織、住民等が避難等の検討ができるよう、必要に応じて、浸水深だけでなく浸水継続時間を提示する。

1.比較的発生頻度の高い外力に対する防災対策

比較的発生頻度の高い外力に対しては、これまで進めてきている施設の整備を着実に進めるとともに、適切な維持管理・更新を行うことにより、水害の発生を着実に防止する防災対策を進める。

施設の着実な整備

引き続き堤防や洪水調節施設、下水道等の施設の整備を着実に実施する。その際、災害リスク評価を踏まえ、効果的・効率的な整備促進を図る。また、施設計画の目標や内容等について、近年の大雨等の発生頻度の増加等を踏まえ、必要に応じて見直す。

既存施設の機能向上

治水機能の増強等を行うダム再生、既存の下水道施設の増補管や貯留施設の整備など、既存ストックのより一層の機能向上を図る。

維持管理・更新の充実

ICT等を活用し、河川や下水道の施設の状況をきめ細かく把握する。また、CCTV等を活用し、洪水や内水に関する情報の把握に努める。必要な貯水池容量を維持・確保するため、ダムの堆砂対策を引き続き推進する。

写真水門等の施設操作の遠隔化等

水門等の確実な操作と操作員の安全確保のため、水門等の施設操作の遠隔化・自動化等を推進する。

総合的な土砂管理

流砂系全体として持続可能な土砂管理の目標について検討し、ダムからの土砂供給、掘削土の養浜材への活用、沿岸漂砂の連続性を確保するサンドバイパスなど、総合的な土砂管理の取組を推進する。

できるだけ手戻りのない施設の設計

気候変動により外力が増大し、将来、施設の改造等が必要になった場合でも、できる限り容易に対応できるよう、改造等が容易な構造形式の選定や基礎部等をあらかじめ補強しておくことなど、外力の増大に柔軟に追随できるできるだけ手戻りのない設計に努める。

施設計画、設計等のための気候変動予測技術の向上

できるだけ手戻りのない施設の設計を行うにあたって、気候変動による影響をより精度よく想定する必要があるため、気候変動予測技術の向上等に取り組む。

海面水位の上昇、土砂や流木の影響検討

気候変動による海面水位の上昇に伴う高潮・高波による被災リスクの上昇や、内水の排水条件が厳しくなることに伴う浸水などへの影響を明らかにする。また、気候変動に伴う土砂や流木の流出量の変化や、これらが河道等に及ぼす影響を明らかにする。

河川や下水道の施設の一体的な運用

河川及び下水道の施設の一体的な運用の推進を図るため、河川及び下水道の既存施設を接続する連結管や兼用の貯留施設等の整備を推進する。

2.施設の能力を上回る外力に対する減災対策

施設の能力を上回る外力に対しては、施設の運用、構造、整備手順等の工夫により減災を図るとともに、災害リスクを考慮したまちづくり・地域づくりの促進や的確な避難、円滑な応急活動、事業継続等のための備えの充実など、施策を総動員して、できる限り被害を軽減する減災対策に取り組む。

① 施設の運用、構造、整備手順等の工夫

施設の能力を上回る外力に対し、超過洪水等を考慮してこれまで進めてきている対策を着実に進めるとともに、施設の運用、構造、整備手順等の工夫等により減災を図る。

観測等の充実

河川や下水道等の水位等を確実に観測するよう観測機器の改良や配備の充実を図る。

水防体制の充実・強化

きめ細かく設定した重要水防箇所や危険箇所の洪水時の情報を水防管理者に提示する。また、洪水だけでなく、内水及び高潮についても水位を周知する。さらに、洪水や内水に関する活動拠点の整備や水防資機材の備蓄を行う

河川管理施設等を活用した避難場所等の確保

円滑かつ迅速な避難等に資するため、堤防や河川防災ステーション等の河川管理施設等を活用して、避難場所や避難路の確保に努める。

様々な外力に対する災害リスクに基づく河川整備計画等の点検・見直し

想定最大外力までの様々な規模の外力に対して、上下流・本支川のバランスなどに留意し、減災の観点も考慮した最適な河川整備の内容、手順となるように必要に応じて河川整備計画を見直す。また、激甚化、頻発化する局地的な大雨等に対応するため、浸水シミュレーション等によるきめ細やかな災害リスク評価に基づき、下水道によるハード・ソフト両面からの浸水対策計画の策定を推進する。

決壊に至る時間を引き伸ばす堤防の構造

既に築造されている堤防の信頼性を向上させる観点も含めて、堤防が決壊に至るまでの時間を引き延ばし、避難等のための時間をできる限り確保することを可能とするような堤防の構造について検討する。

既存施設の機能を最大限活用する運用

既設ダムについては、ダムの洪水調節機能を最大限活用するための操作の方法について検討する。また、ダム上流域の降雨量やダムへの流入量の予測精度の向上を図ることで、ダム操作の更なる高度化に努める。

内水対策について、水位情報等を活用した下水道管渠のネットワークや排水ポンプの運用方法について検討する。

大規模な構造物の点検

ダム・堰など大規模な構造物については、想定最大外力など、設計外力を上回る外力が発生した場合を想定し、構造物の損傷などの有無や、その損傷による影響について点検し、必要に応じて対策を実施する。

② まちづくり・地域づくりとの連携

今後、都市や中山間地において、人口減少等を踏まえたまち・地域の再編が進められていく機会をとらえ、災害リスクを考慮したまちづくり・地域づくりの促進により減災を図る。

総合的な浸水対策

流域のもつ保水・遊水機能を確保するなどの総合的な浸水対策を推進する。

土地利用状況を考慮した治水対策

輪中堤等によるハード整備と土地利用規制等によるソフト対策を組み合わせるなど、地域の意向も踏まえながら土地利用状況を考慮した治水対策を推進する。

地下空間の浸水対策

地下空間の重要施設の浸水防止や、地下空間からの避難行動の時間の確保等のために、地下街等の施設管理者による止水板等の設置や適切な避難誘導など、地下空間への浸水防止対策や避難確保対策を促進する。

災害リスク情報のきめ細かい提示・共有等

まちづくり・地域づくりや民間投資の検討、住まい方の工夫に資するよう、災害リスク情報を受け手に分かりやすい形で提示するとともに、関係機関の協力を得つつ、様々な機会をとらえて提示する取組を進める。

災害リスク情報の提示によるまちづくり・住まい方

コンパクトなまちづくり等の推進にあたっては、災害リスクの高い地域を提示することを通じて、災害リスクの低い地域への居住や都市機能の誘導を促す。

まちづくり・地域づくりと連携した浸水軽減対策

災害リスクが比較的高いものの、既に都市機能や住宅等が集積している地域については、適切な役割分担の下、災害リスクを軽減するために河川の整備に加え、複数の都市が共同して効率的に行う下水道等の整備や民間による雨水貯留浸透施設、止水板の設置などを重点的に推進する。

まちづくり・地域づくりと連携した氾濫拡大の抑制

二線堤、自然堤防、連続盛土等の保全、市町村等による二線堤等の築造など、まちづくり・地域づくりと連携した氾濫の拡大を抑制するための仕組みを検討する。

③ 避難、応急活動、事業継続等のための備え

施設の能力を上回る外力に対して、的確な避難、円滑な応急活動、事業継続等のための備えの充実を図る。特に、施設の能力を大幅に上回る外力に対しては、最悪の事態を想定し、国、地方公共団体、公益事業者、企業等が、主体的に連携して、ソフト対策に重点を置いて対応する。

避難勧告の的確な発令のための市町村長への支援

非常時において国・都道府県が市町村をサポートする体制・制度を充実させるとともに、平時においても、危険箇所等の災害リスクに関する詳細な情報を提供する。

避難を促す分かりやすい情報の提供

雨量の増大や洪水による河川水位の上昇、台風・低気圧による高潮等の危険の切迫度が住民に伝わりやすくなるよう、防災情報と危険の切迫度との関係を分かりやすく整理して提供するなど、情報の受け手にとって分かりやすい情報の提供に努める。

避難の円滑化、迅速化を図るための事前の取組の充実

ハザードマップについて住民等から見て分かりやすい表示となるよう努めるとともに、街のなかに、その場所において想定される浸水深、その場所の標高、退避の方向、避難場所の名称や距離等を記載した標識の設置を進める。

避難や救助等への備えの充実

大規模水害時等における死者数・孤立者等の被害想定を作成し、この被害想定を踏まえ、国、地方公共団体、公益事業者等の関係機関が連携した避難、救助・救急、緊急輸送等ができるよう、これら関係機関が協働してタイムライン(時系列の行動計画)を策定する。

災害時の市町村への支援体制の強化

TEC-FORCE(Technical Emergency Control FORCE:緊急災害対策派遣隊)等が実施する市町村の支援体制を強化する。

防災関係機関、公益事業者等の業務継続計画策定等

防災関係機関等が、応急活動、復旧・復興活動等を継続できるよう、市役所等の庁舎や消防署、警察署、病院等の重要施設の浸水防止対策の実施やバックアップ機能の確保、業務継続計画の策定等を促進するための方策を検討する。また、公益事業者が被害をできる限り軽減するとともに、早期に復旧できるよう、タイムラインへの参加を促す方策を検討する。

氾濫拡大の抑制と氾濫水の排除

大規模な水害においては、氾濫被害の拡大防止や早期の復旧・復興のため、迅速に浸水を解消することが極めて重要であり、氾濫水排除に係る計画をあらかじめ検討するとともに、氾濫水を早期に排除するための排水門の整備や排水機場等の耐水化、燃料補給等のためのアクセス路の確保、予備電源や備蓄燃料の確保等を推進する。

企業の防災意識の向上、水害BCPの作成等

企業等の被害軽減や早期の業務再開を図るため、水害を対象としたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の作成や浸水防止対策の実施を促進するための方策について検討する。

各主体が連携した災害対応の体制等の整備

施設の能力を大幅に上回る外力により大規模な氾濫等が発生した場合を想定し、国、地方公共団体、公益事業者等が連携して対応するため関係者一体型タイムラインを策定する。

調査研究の推進

気候変動の影響により外力が増大することが予測されていることから、増大する外力についての定量的な評価や確率規模の取扱い、想定最大外力の設定手法の高度化、新たな治水計画論等についての研究を推進する。また、土砂についても流出量が増大することが予測されるため、河道等に及ぼす影響についての研究も推進する。気候変動による水害リスクの増大に対し、例えば水害保険等の活用状況を分析するなどにより、既存の制度・手法等にとらわれない新たな適応策の可能性についての研究を推進する。

3.農業分野における対策

農業分野では、集中豪雨の増加等に対応するため、排水機場や排水路等の整備により農地の湛水被害等の防止を推進するとともに、湛水に対する脆弱性が高い施設や地域の把握、ハザードマップ策定などのリスク評価の実施、施設管理者による業務継続計画の策定の推進など、ハード・ソフト対策を適切に組み合わせ、農村地域の防災・減災機能の維持・向上を図る。その際、既存施設の有効活用や地域コミュニティ機能の発揮等により効率的に対策を行う。

現状では、気候変動予測の不確実性が高く、将来予測に基づく具体的な検討を行う根拠に乏しいことから、気候変動研究の進展に伴う新たな科学的知見等を踏まえ、中長期的な影響の予測・評価を行う。

[関係府省庁]内閣府、警察庁、総務省、農林水産省、国土交通省
適応高潮・高波等の適応策

基本的な施策

1.港湾

適応策の基本的な考え方

地球温暖化に起因する気候変動に対する港湾政策のあり方」(平成21年3月、交通政策審議会答申)を踏まえるとともに、堤外地及びその背後地の社会経済活動や土地利用を勘案しつつ、軽減すべきリスクの優先度に応じ、下記のようなハード・ソフトの適応策を最適な組み合わせで戦略的かつ順応的に推進することで、堤外地・堤内地における高潮等のリスク増大の抑制、及び港湾活動の維持を図る。また、各種制度・計画に気候変動への適応策を組み込み、様々な政策や取組との連携による適応策の効果的な実施(適応策の主流化)を促す。

出典:国土交通省(2009)「地球温暖化に起因する気候変動に対する港湾政策のあり方」答申について(報告)」
港湾に関する共通事項(モニタリング、影響評価、情報提供等)

気象・海象のモニタリングを実施し、高潮・高波浸水予測等のシミュレーションを行って気候変動の影響を定期的に評価し、関係機関に情報提供する。

強い台風の増加に伴う高潮偏差の増大・波浪の強大化、海面水位の上昇による災害リスクの高まりをハザードマップ等により港湾の利用者等に周知するとともに、海面水位の上昇に伴う荷役効率の低下等の影響を評価する。堤外地の企業等や背後地の住民の避難に関する計画の作成、訓練の実施等を促進する。加えて堤外地においては、避難と陸閘の操作規則(海岸管理者が策定)との整合をはかり、利用者等の円滑な避難活動を支援する。

防波堤等外郭施設及び港湾機能への影響に対する適応策

モニタリングの結果等を踏まえた外力の見直しが必要となる場合、それに対応した構造の見直しにより、係留施設や防波堤の所要の機能を維持する。

防波堤、防潮堤等の被災に伴い、人命、財産または社会経済活動に重大な影響を及ぼすおそれのある場合に備え、設計外力を超える規模の外力に対しても減災効果を発揮できるよう、粘り強い構造に係る整備等を推進する。

気候変動の影響で航路・泊地の埋没の可能性が懸念される場合、防砂堤等を設置するなどの埋没対策を実施する。災害発生後も港湾の重要機能を維持するため、港湾の事業継続計画(港湾BCP)の策定に関係者が協働して取り組むとともに、適宜見直しながら拡充を目指す。

出典:国土交通省(2015)「港湾の事業継続計画(港湾BCP)策定ガイドライン」の策定について
写真堤外地(埠頭・荷さばき地、産業用地等)への影響に対する適応策

海岸保全施設や港湾施設の機能を把握・評価し、リスクの高い箇所の検討等に資する情報を整備する。

気候変動による漸進的な外力増加に対して大幅な追加コストを要しない段階的な適応を行えるよう、最適な更新等を行う考え方を検討する。避難判断に資するために、観測潮位や波浪に係る情報を地域と共有する。

企業等による自衛防災投資の促進などを図るため、災害リスクに関するきめ細かな情報提供について検討する。将来の海面水位の上昇が有意に認められる場合には、埋立地造成の際に、岸壁等の水際線の利用や一連の物流動線との整合性を考慮しつつ、強い台風の増加に伴う高潮偏差の増大・波浪の強大化をあらかじめ考慮した地盤高を確保し、浸水リスクを軽減することに努める。

気候変動による風況の変化に備え、クレーン等逸走対策を推進する。

背後地(堤内地)への影響に対する適応策

海岸保全施設や港湾施設の機能を把握・評価し、リスクの高い箇所の検討等に資する情報を整備する。

気候変動による漸進的な外力増加に対して大幅な追加コストを要しない段階的な適応を行えるよう、最適な更新等を行う考え方を検討する。民有施設(胸壁、上屋、倉庫、緑地帯等)を避難や海水侵入防止・軽減のための施設として活用を図るための検討を行う。

中長期的には、臨海部における土地利用の再編等の機会を捉えた防護ラインの再構築とともに、高潮等の災害リスクの低い土地利用への転換を進める。

写真桁下空間への影響に対する適応策

将来の海面水位の上昇が有意に認められる場合には、海面水位の上昇量を適切に把握するとともに、通行禁止区間・時間を明示し、橋梁・水門等と船舶等との衝突防止を図るとともに、クリアランスに課題の生じるおそれのある橋梁の沖側に係留施設を配置するなど、港湾機能の再配置を図る。

2.海岸

適応策の基本的な考え方

海象のモニタリングを行いながら気候変動による影響の兆候を的確に捉え、背後地の社会経済活動及び土地利用の中長期的な動向を勘案して、下記のハード・ソフトの施策を最適な組み合わせで戦略的かつ順応的に進めることで、高潮等の災害リスク増大の抑制及び海岸における国土の保全を図る。

進行する海岸侵食への対応の強化

沿岸漂砂による土砂の収支が適切となるよう構造物の工夫等を含む取組を進めるとともに、気候変動によって増大する可能性のある沖向き漂砂に対応した取組も必要に応じて実施する。
また、河川の上流から海岸までの流砂系における総合的な土砂管理対策とも連携する等、関係機関との連携の下に広域的・総合的な対策を推進する。

災害リスクの評価と災害リスクに応じた対策

気候変動も一因となって引き起こすと考えられる強い台風の増加等による高潮偏差の増大及び波浪の強大化に対応していくため、背後地の利用状況や海岸保全施設の整備状況を踏まえ、一連の防護ラインの中で災害リスクの高い箇所を把握し、災害リスクを明らかにするとともに、災害リスクに応じたハード・ソフト施策の最適な組み合わせによる対策を進める。

防護水準等を超えた超過外力への対応

高潮により超過外力が作用した場合の海岸保全施設の安定性の低下などへの影響等に関する調査研究を進め、背後地の状況等を考慮しつつ粘り強い構造の堤防等の整備を推進するとともに、高潮等に対する適切な避難のための迅速な情報伝達等ソフト面の対策も併せて講ずる。

増大する外力に対する施策の戦略的展開

気候変動の影響による海面水位の上昇が認められる場合、あらかじめ将来の海面水位上昇への対応を考慮した整備や施設更新を行うなど、順応的な対策を行う。

気候変動による漸進的な外力の増加に対して、あらかじめ将来の嵩上げ荷重を考慮した構造物の基礎を整備することで順応的な嵩上げを可能にする等、適応に関する技術開発等について検討を進める。

進行する海岸侵食への対応の強化

他分野の施策や関係者との連携等

各種制度・計画に気候変動への適応策を組み込み、様々な政策や取組との連携による適応策の効果的な実施(適応策の主流化)を促す。具体的には、避難・土地利用計画や他の防災・減災対策など海岸の背後地域を担う関係行政分野、民間企業及び国民等との連携を図りつつ、災害からの海岸の防護、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用の調和のとれた、総合的で効率的、効果的な施策の展開に努める。

海外における適応策の先進事例の把握に努め、我が国においても適用可能な施策の導入も検討していく。

写真漁港・漁村・海岸防災林

防波堤、物揚場等の漁港施設の嵩上げや粘り強い構造を持つ海岸保全施設の整備等を引き続き計画的に推進する。

また、海岸防災林の整備にあたっては、高潮や海岸侵食に対する被害軽減効果も考慮した生育基盤の造成等や、防潮堤などの機能強化等を図っていく。

調査研究・技術開発の推進

超過外力が作用する場合の施設への影響を踏まえた、堤防等の技術開発を進めるとともに、海岸侵食対策にかかる新技術の開発を推進する。また、沿岸域における生態系による減災機能の定量評価手法開発など、沿岸分野の適応に関する調査研究を推進する。

[関係府省庁]農林水産省、国土交通省
適応土砂災害の適応策

基本的な施策

土砂災害の発生頻度の増加への対策

気候変動に伴う土砂災害の発生頻度の増加が予測されていることを踏まえ、人命を守る効果の高い箇所における施設整備を重点的に推進するとともに、避難場所・経路や公共施設、社会経済活動を守る施設の整備を実施する。

砂防堰堤の適切な除石を行うなど既存施設も有効に活用する。

施設の計画・設計方法や使用材料について、より合理的なものを検討する。

土砂災害は複雑な誘因、素因が連関して発生し、正確な発生予測が難しいことから、ハード対策とソフト対策を一体的に進めていくことが重要となる。土砂災害防止法の改正を踏まえ、土砂災害警戒区域等の指定を促進するとともに、指定の前段階においても基礎調査結果を公表し、住民に対して早期に土砂災害の危険性を周知する。

ハザードマップやタイムライン(時系列の行動計画)の作成支援等を通じて警戒避難体制の強化を図り、住民や地方公共団体職員に対する普及啓発により土砂災害に関する知識を持った人材の育成を推進する。

写真警戒避難のリードタイムが短い土砂災害への対策

住民が一刻も早く危険な場所から離れることができるよう、危険な場所や逃げる場所、方向等について周知を徹底するため、実践的な防災訓練、防災教育を通じて、土砂災害に対する正確な知識の普及に努める。

土砂災害警戒情報の改善、ソーシャルメディア等による情報収集・共有手段の活用等を検討する。

計画規模を上回る土砂移動現象への対策

砂防堰堤等が少しでも長い時間減災機能を発揮できるよう、施設の配置や構造を検討する。

また、それによって住民の避難時間確保や避難場所・経路を保全するなど、ハード対策とソフト対策の連携方策についても検討する。

深層崩壊等への対策

人工衛星等の活用により国土監視体制を強化し、深層崩壊等の発生や河道閉塞の有無をいち早く把握できる危機管理体制の整備を推進する。

空中電磁探査などの新たな技術の活用を推進する。

河道閉塞等により甚大な被害が懸念される場合の緊急調査及びその結果の市町村への情報提供、関係機関と連携したより実践的な訓練の実施、無人航空機(UAV)の導入など、対応の迅速化、高度化に取り組む。

写真不明瞭な谷地形を呈する箇所での土砂災害への対策

重点的に対策すべき箇所を抽出するため、危険度評価手法を検討するとともに、より合理的な施設の構造について検討する。

土石流が流域界を乗り越える現象への対策

流域界を乗り越える土砂量や範囲を適切に推定し、その結果のハード対策、ソフト対策への活用を検討する。

流木災害への対策

流木捕捉効果の高い透過型堰堤の採用、流木止めの設置、既存の不透過型堰堤を透過型堰堤に改良することなどを検討する。

上流域の管理

人工衛星や航空レーザ測量によって得られる詳細な地形データ等を定常的に蓄積することで、国土監視体制の強化を図る。

国土管理の観点から、上流域の荒廃を防ぐため、里山砂防事業やグリーンベルト整備事業を推進する。

写真災害リスクを考慮した土地利用、住まい方

土砂災害警戒区域の指定や基礎調査結果の公表を推進することで、より安全な土地利用を促していく。特に、要配慮者利用施設や防災拠点の安全確保を促進する。

災害リスクが特に高い地域について、土砂災害特別警戒区域の指定による建築物の構造規制や宅地開発等の抑制、がけ地近接等危険住宅移転事業等により当該区域から安全な地域への移転を促進する。

調査研究の推進

土砂災害に関しては、発生情報と降雨状況、土砂災害警戒区域等を組合せ、災害リスクの切迫性をより確実に当該市町村や住民に知らせる防災情報についても研究を推進する。

雪崩災害については、気候の変化に伴い降雪の量、質等が変化することに加え、近年でも、普段雪の少ない地域において、大雪や極めて急速な積雪の増大等の事例も見られることから、降雪・積雪等に関する観測を続けるとともに大雪や雪崩による災害への影響について、さらに研究を推進する。

[関係府省庁]国土交通省
適応その他(強風等)の適応策

基本的な施策

近未来(2015~2039年)から気候変動による強風や強い台風の増加等が予測されていることから、気候変動に伴う強い台風に対しては、引き続き災害に強い低コスト耐候性ハウスの導入等を推進する

竜巻に対しては、竜巻等の激しい突風が起きやすい気象状況であることを知らせる情報の活用や、自ら空の様子に注意を払い、積乱雲が近づくサインが確認された場合には、身の安全を確保する行動を促進する。

気候変動が強風等に与える影響や適応策に関する調査研究を推進し、科学的知見の集積を図る。

[関係府省庁]内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省
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