国民生活・都市生活国民生活・都市生活の適応策

項目別の基本的な施策

適応インフラ、ライフライン等
物流における適応策

荷主と物流事業者が連携した事業継続計画(BCP)の策定を促進するため、2014年度に作成したガイドラインの内容を広く周知する。

災害時に支援物資の保管を円滑に行うため、地方公共団体と倉庫業者等との支援物資保管協定の締結の促進や、民間物資拠点のリストの拡充・見直しを行う。

鉄道貨物輸送を推進していく観点から、台風・雪崩・土砂災害等により貨物輸送に障害が発生した場合、関係者で連携した対策を講じる。

鉄道における適応策

ハザードマップ等に基づき、浸水被害が想定される地下駅等について、出入口、トンネル等の浸水対策を推進するとともに、鉄道施設における大雨災害の深刻化による土砂災害等、高潮・高波リスクの増加による海岸侵食等を防止するため、落石・なだれ対策および海岸等保全を推進する。

港湾における適応策

写真我が国の経済及び国民生活を支える海上輸送機能を確保する観点から、浸水被害や海面水位の上昇に伴う荷役効率の低下等に対して、係留施設、防波堤、防潮堤等について所要の機能を維持する。

気候変動による風況の変化に備え、クレーン等逸走対策を推進する。

災害時において港湾の物流機能を維持し、背後産業への影響を最小化するため、施設について所要の機能の維持を図るとともに、企業等に対するリスク情報の提供や港湾の事業継続計画(港湾BCP)の策定等に取り組む。

空港における適応策

写真沿岸部の空港について、人命保護の観点から、高潮等に関する浸水想定を基にハザードマップを作成するとともに、災害リスクに関する情報提供のための仕組みを検討し、空港利用者等への周知等を図る。

近年の雪質の変化等を踏まえて空港除雪体制を検討し、再構築を図る。

道路における適応策

写真緊急輸送道路として警察、消防、自衛隊等の実動部隊が迅速に活動できるよう、安全性、信頼性の高い道路網の整備、無電柱化等を推進する。

「道の駅」においては防災機能の強化を実施する。

災害時には早急に被害状況を把握し、道路啓開や応急復旧等により人命救助や緊急物資輸送を支援する。併せて、通行規制等が行われている場合、ICT技術を活用し、迅速に情報提供する。

水道インフラにおける適応策

気候変動が水道インフラに影響を及ぼすことが懸念されることも踏まえ、水の相互融通を含めたバックアップ体制の確保や老朽管を水害等の自然災害にも耐えられる耐震管へ更新するなどの水道の強靭化に向けた施設整備の推進や、施設の損壊等に伴う減断水が発生した場合における迅速で適切な応急措置及び復旧が行える体制の整備を行うとともに、総合的な水質管理の徹底を図る。

廃棄物処理施設における適応策

写真気候変動が社会インフラである廃棄物処理施設に影響を及ぼすことが懸念されることも踏まえ、平時からの備えとして、地域の廃棄物処理システムを強靱化する観点から、市町村等による水害等の自然災害にも強い廃棄物処理施設の整備や地域における地方公共団体及び関係機関間の連携・支援体制の構築を推進する。

交通安全施設等における適応策

写真災害が発生した場合においても安全で円滑な道路交通を確保するため、交通管制センター、交通監視カメラ、車両感知器、交通情報板等の交通安全施設の整備を推進するとともに、通行止め等の交通規制を迅速かつ効果的に実施する。

災害発生時の停電による信号機の機能停止を防止する信号機電源付加装置の整備を推進する。

調査・研究

気候変動がインフラ・ライフライン等に及ぼす影響については、具体的に評価した研究事例が少なく確信度が低いことから、調査研究を進め、科学的知見の集積を図る。

[関係府省庁]警察庁、厚生労働省、国土交通省、環境省
適応文化・歴史などを感じる暮らし

写真気候変動が生物季節、伝統行事・地場産業等に影響を及ぼす可能性がある。

地域で適応に取り組むためには、これらの項目を適切に考慮していくことが重要であり、関連する情報の地域への提供や関係者間の共有を進める。

植物の開花や紅葉などの生物季節観測を実施する。

気候変動が伝統行事・地場産業に及ぼす影響については、具体的に評価した研究事例が少なく確信度が低いと評価されていることから、調査研究を進め、科学的知見の集積を図る。

[関係府省庁]国土交通省、環境省
適応その他(暑熱による生活への影響)

写真ヒートアイランド現象を緩和するため、実行可能な対策を継続的に進めるとともに、短期的に効果が現れやすい対策を併せて実施する。また、ヒートアイランド現象の緩和には長期間を要することを踏まえ、ヒートアイランド現象の実態監視や、ヒートアイランド対策の技術調査研究を行う。

緑化や水の活用による地表面被覆の改善

気温の上昇抑制等に効果がある緑地・水面の減少、建築物や舗装等によって地表面が覆われることによる地表面の高温化を防ぐため、地表面被覆の改善を図る。

具体的には、大規模な敷地の建築物の新築や増築を行う場合に一定割合以上の緑化を義務づける緑化地域制度等の活用や、住宅や建築物の整備に関する補助事業等における緑化の推進、一定割合の空地を有する大規模建築物について容積率の割増等を行う総合設計制度等の活用により、民有地や民間建築物等の緑化を進める。また、都市公園の整備や、道路・下水処理場等の公共空間の緑化、官庁施設構内の緑化、新たに建て替える都市機構賃貸住宅の屋上における緑化を推進する。

都市農地は、都市の緑を形成する主要な要素になっており、ヒートアイランド現象の緩和など、国土・環境の保全の役割を果たしているため、都市地域及びその周辺の地域の都市農地の保全を推進する。

下水処理水のせせらぎ用水、河川維持用水等へのさらなる利用拡大に向けた地方公共団体の取組の支援や、雨水貯留浸透施設の設置の推進等により、水面積の拡大を図る。

路面温度上昇抑制機能を有する舗装技術等の効果検証を実施するとともに、快適な環境の提供に資する道路緑化等を含む総合的な道路空間の温度上昇抑制に向けた取組の具体化を図る。

人間活動から排出される人工排熱の低減

写真建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)等に基づき住宅・建築物の省エネルギー化を推進するほか、自動車からの排熱減少に資する環境性能に優れた自動車の普及拡大、都市鉄道・都市モノレール・新交通システム・路面電車等の整備による公共交通機関の利用促進、エネルギー消費機器等の効率化に取り組む。

道路ネットワークを賢く使い、渋滞なく快適に走行できる道路とするため、交通流対策を推進する。

トラックによる貨物輸送から、鉄道・内航海運による貨物輸送へのモーダルシフトを推進するとともに、トラック輸送についても共同輸配送等を通じて輸送の効率化を図る。

官民連携協議会を推進母体に、下水熱利用の案件形成を支援する等、下水熱の有効利用を推進する。

都市形態の改善(緑地や水面からの風の通り道の確保等)

写真都市を流れる「風の道」を活用する上での配慮事項等を示した「ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりガイドライン1)」の活用を促進することにより、広域、都市、地区のそれぞれのスケールに応じて、都市形態の改善や地表面被覆の改善及び人工排熱の低減等の対策が適切に行われる都市づくりを推進する。

首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン2)」及び「近畿圏の都市環境インフラのグランドデザイン3)」に基づく取組の推進、特別緑地保全地区制度等による緑地の保全、都市山麓グリーンベルトの整備や、雨水、下水再生水利用によるせせらぎ整備等により、都市における水と緑のネットワークの形成を推進する。

出典1):国土交通省(2013)「『ヒートアイランド現象緩和に向けた 都市づくりガイドライン』の策定について」
出典2):国土交通省(2004)「首都圏の都市環境インフラのグランドデザイン~首都圏に水と緑と生き物の環わを~」
出典3):国土交通省(2006)「近畿圏の都市環境インフラのグランドデザイン~ 山・里・海をつなぐ人と自然のネットワークに向けた提言 ~」
ライフスタイルの改善等

写真ライフスタイルの改善に関しては、都市の熱の発生抑制を図る観点でのライフスタイルの改善に向けた取組の推進(市民活動による打ち水の実施、緑のカーテン等の普及推進、省エネルギー製品の導入促進、夏の軽装推進等)及び自動車の効率的利用(エコドライブの推進)を図る。

観測・監視体制の強化及び調査研究の推進

ヒートアイランド現象の観測・監視と要因分析を行い、それらの結果を「ヒートアイランド監視報告」等として提供するとともに、内容を充実させる。また建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の開発・普及促進、効果的なヒートアイランド対策のための都市計画に関する技術の調査研究に取り組む。

地表面の被覆や利用状況(土地利用・土地被覆)のモニタリングと時間変化は、都市化の進展やヒートアイランド現象を評価する上で重要であるため、地球観測衛星「だいち」で取得されたデータで空間解像度30 mという細かさで土地被覆分類図を作成し、一般へ公開している。

今後は、アルゴリズムの更新等で土地被覆分類図の高精度化を推進する。

出典 :気象庁 WEBサイト「ヒートアイランド監視報告」
人の健康への影響等を軽減する適応策の推進

暑熱回避行動による熱ストレスの低減を促すため、気象データより全国各地における暑さ指数(WBGT)の実況値・予測値を算出し、ホームページにおいて他の熱中症予防情報と併せて公表している。

[関係府省庁]警察庁、国土交通省、環境省
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