適応ビジネス事例適応ビジネス
掲載日:2019年5月10日

株式会社坂ノ途中

  • ■業種 :卸売業、小売業/農業、林業
「百年先も続く農業」によるレジリエンス強化

【適応分野】農林水産業

会社概要

 2009年に「百年先も続く、農業を。」をテーマに掲げて創業した野菜提案企業。新規就農者が農薬や化学肥料に頼らず育てた野菜を販売することで「持続可能な農業の拡大」を目指す。賛同する約200軒の農家とパートナーシップを構築し、サブスクリプション方式による農産物の宅配を主力事業として運営、小売店や飲食店向けの卸業も展開。急成長を遂げている。2016年からは途上国の社会課題解決の取り組みとして、東南アジアでのコーヒー栽培支援および日本国内でのコーヒーの販売活動を開始。産地では栽培技術や品質指導なども行う。2016年、京都市による第1回「これからの1000年を紡ぐ企業認定」に選ばれる。2018年には経済産業省の地域未来牽引企業に選定。

気候変動による影響

 気候変動の影響により東南アジアの農作物生産量は2050年までに5~30%減少すると予測されている。東南アジアにおいて、多くの人々の生計手段である農業における気候変動の影響を解決することが課題であり、当社は気候レジリエンス強化に取り組む。

適応に関する取り組み

 当社は、環境負荷の小さい農業技術をベースに、現地の気候や土質、歴史文化などの文脈に沿った農産物で気候変動に適応することで、人々の暮らしに貢献し得る農業システムを構築。海外事業では、東南アジアで農薬・化学肥料に頼らず育てられたコーヒーを、日本国内でインターネット販売、またはロースター向けの生豆卸売りを実施している。

 2016年に「Mekong Organic Project」を立ち上げる。焼畑農業や大規模プランテーション開発による森林消失が社会問題になっているラオスで、森の中でコーヒーの木を育てるアグロフォレストリーという生産技術を産地農家に提案。栽培方法や品質の指導まで実施(図1・2)。地域による土壌環境、気候条件の違いを考慮し、生産者とのコミュニケーションを密にとりながら、地域資源の有効活用、多品種への適用可能性といった観点で選定した汎用性の高い日本の栽培技術を移転している。アグロフォレストリー(降水パターンの変化や気温変化に対応する剪定方法やシェードづくり)、病虫害対策、土壌の保水性・生産性を高める施肥に関する技術指導、新規農地整備などがある。

 2018年以降、ミャンマー、フィリピン、ネパールへと事業地域を広げ、「Mekong Organic Project」から「海ノ向こうコーヒー」と名前を変えて事業を拡大している。

 国内の野菜販売事業、海外のコーヒー事業、ともに「生産地や生産者のストーリー」を消費者に丁寧に伝えることで、継続的な購入を促す関係性を構築し、安定的な売上の実現を目指している。

効果/期待される効果等

 気候変動の影響を軽減する栽培方法を現地農家に指導して農業生産を実施することで、農業の気候レジエンス強化が期待される。また、国内外の販路開拓による安定的な利益の確保と、その還元を実現し、現地における農業生産の持続性を確保する。

  • 図1 現地農家の指導風景図1 現地農家の指導風景
  • 図2 販売しているラオス産コーヒー図2 販売しているラオス産コーヒー
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