適応ビジネス事例適応ビジネス
掲載日:2017年3月13日

シャボン玉石けん株式会社

石けん系消火剤を用いて山火事による動植物への影響を軽減

気候変動による気温の上昇が、山間部や森林の乾燥を促進し、山火事が起こりやすい状況をつくっているといわれている。山火事は大気汚染を引き起こし、広い範囲の住民の健康状態に悪影響を及ぼす。また、森林の消失は、生態系の崩壊を促し、栽培環境の変化や食物連鎖への影響による食糧生産基盤の悪化と共に、医薬品の資源でもある動植物の消滅につながる。シャボン玉石けんは、合成系の界面活性剤は使わず、天然系(石けん系)の界面活性剤を使用した、環境にやさしく、かつ消火能力の高い石けん系消火剤を開発。水・空気と混合させ泡状にして、水のみの消火に比べ小水量かつ素早い消火が可能である。気候変動に起因する森林の消失を抑制することが、保健・衛生分野及び食糧の安定供給・生産基盤強化の適応策となる。

企業概要

1910年「森田範次郎商店」創業(1987年、現社名に変更)。1971年より、化学物質や合成添加物を一切含まない無添加石けんの製造・販売を行っている。阪神・淡路大震災で火栓、水道管などが破裂し消火用の水の確保ができず被害が増大したことを教訓に、少ない水で消火できる消火剤の必要性を認識した北九州消防局から開発依頼を受け、2001年、北九州市立大学等と開発を開始した。2007年に石けん系消火剤を商品化し販売を開始した。

適応に関する取組

頻発する山火事による動植物への影響を軽減する

【製品・技術】

石けん系消火剤の主成分は毒性が低い石けんである。分解速度が速いだけでなく、自然界に豊富にあるカルシウムやマグネシウムといったミネラル分と結合して界面活性が失われるため、生態系への影響が低い。また、建物火災においては、泡切れが良く、改めて洗い流す必要がない点も高い評価を得ている。2007年には内閣府の「産学連携功労者表彰 総務大臣賞」を受賞した。東南アジアやロシア、オーストラリアなど広大な国土で発生する森林火災や泥炭火災向けに注目されている。

【活動内容】

泥炭地は、地中に大量の炭素を含むことから、乾燥による森林火災が発生すると消火は非常に困難で長期化する。世界の熱帯泥炭地の約半分を有するインドネシアは、「地球の火薬庫」と称され、同国では深刻な問題である。シャボン玉石けん株式会社は、2013年からJICAの支援により、インドネシア泥炭地向けの泡消火剤の研究開発・実証事業を実施。2015年より、現地の有力火災対策資機材販売会社に販売を開始し、2016年からJICAの支援によりインドネシアでの市場調査を実施。乾季に頻発する森林火災で生じる泥炭からの煙害の減少や、消火による森林保護により、動植物の生息域の保全等に貢献している。将来的には現地生産も視野に入れている。

  • 消火の様子消火の様子
  • 現地関係者への説明現地関係者への説明
自社関連サイト

『経済産業省「平成28年度途上国における適応分野の我が国企業の貢献可視化事業」より作成』

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