適応ビジネス事例適応ビジネス
掲載日:2017年4月28日

大成建設株式会社

建物内部への浸水リスクを把握し、リスクマネジメントに活用

昨今、既往の想定を上回る浸水被害が発生している。さらに今後、地球温暖化に伴う強い降水の増加や水害の激甚化などが想定され、水防法の改正も行われている。浸水深の想定は自治体からハザードマップとして公表されているが、地図上のエリアレベルでの表現に留まり、個別の建物への被害想定は難しいのが現状である。

当社では建物内部の浸水リスク評価・システム「T-Flood Analyzer」を開発した。このシステムにより、実態に即した被害状況の想定が可能となる。結果に基づく適切な事前対策の実施は、ストックとしての被害を軽減するほか、建物の機能・性能・資産性を維持することになり、気候変動の影響への適応に繋がる。

企業概要

1873年の創業以来、長年にわたって培われてきた高度な技術力を用いて、建築・土木の設計・施工、環境、エンジニアリング、原子力、開発などの多方面において、多くの時代を切り開くプロジェクトを手掛けてきた。

現在、建設業に求められる役割は単なる構造物の建設だけではなく、人と自然との共生や、地震をはじめとした自然災害への対策など、より複雑化・多様化している。

そうした中、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、安全で快適な生活環境の整備を通じて社会の持続的発展に貢献することを大きな目標として企業活動を行っている。

適応に関する取組

【製品・技術】

本システム「T-Flood Analyzer」は、豪雨、洪水、津波などによる建物内部の浸水リスクを短時間で可視化できる評価・診断システムで、以下の特徴を備えており、リスクマネジメント、ストック活用の観点から有効である。

  • 流入経路とフロア内のレベル差に着目した解析のため精度が高い
  • 新築のシミュレーションのみならず、既存施設にも適用できる
  • 洪水等の広域水害の他、斜路を経由した雨水流入など個別条件の解析も可能
  • 解析によって得られた建物内部への浸水状況は2次元化または3次元化して表示できる
  • 対策検討の際には、複数の対策の効果の比較検証も可能

また、BIM(Building Information Modeling)データと連携させることで、建物内部への浸水状況の解析と、2次元または3次元化した結果表示がより迅速となる。

【活動内容】

本システムによる解析の実施にあたり、必要な情報(ハザードマップや浸水想定区域図、降水想定条件と周辺及び敷地内の標高、床レベル、開口部の詳細など建物固有の条件等)の収集が必要である。この情報収集および内容の整理、伝達、共有を行うことが、建物オーナーへの所有建物のリスク意識の啓蒙や組織内でのリスクコミュニケーションの一助にもなっている。

本システムの適用は以下が代表的な例である。

  • 浸水ハザードマップで浸水想定区域内にある既存施設
  • 浸水想定区域からは外れているが、地下に重要機能があり建物の固有条件により浸水が懸念される施設
  • 建設が予定されている建物での設計内容の検証

今後は、建物周辺での浸水深の予測、避難シミュレーションとの連動など積極的な応用展開を図る予定である。

  • 図-1 建物内各室への浸水状況の時間変化図-1 建物内各室への浸水状況の時間変化
  • 図-2 BIMと連携した浸水状況の可視化結果図-2 BIMと連携した浸水状況の可視化結果
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