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掲載日:2018年2月16日

東レ株式会社/ミツカワ株式会社

ロールプランター®で砂漠を農地に

気候変動の影響による干ばつに伴う砂漠化の進行は、農地不足及び食糧不足を招いている。また南アフリカのような鉱業が盛んな国においては、鉱山事業によって発生した鉱山残土の集積地(マインダンプ)は有毒な化学物質等を含んでいるが、降雨が少ないため土壌汚染と砂漠化が進行しており、マインダンプからの砂塵飛散により近隣住民への健康被害や農作物の汚染等の被害をもたらしている。東レが、ニット生地 製造・販売会社のミツカワと共に開発した筒状の農業資材繊維「ロールプランター®」は、砂漠・荒廃地の農地化とマインダンプの砂塵飛散防止と緑化に貢献する。

会社概要

東レ株式会社:1926年創業の化学メーカー。ナイロン、ポリエステル、アクリル等の繊維を始め、プラスチック・ケミカルや情報通信材料等、日用雑貨から産業用途の化学製品を幅広く展開。グループが目指す企業イメージの一つに「グリーンイノベーションの東レ」を掲げ、地球温暖化防止や資源の有効活用につながる画期的な技術や製品の開発に取り組んでいる。ロールプランター®で第24回地球環境大賞の経済産業大臣賞を受賞。

ミツカワ株式会社:1973年創業のニット生地の製造・販売会社。差別化素材の開発など自社独自の技術開発を行い、新素材を発信している。国内ではロールプランター®を使用した屋上・校庭緑化事業も展開し、ヒートアイランド現象の緩和に貢献している。

適応に関する取り組み

【製品・技術】

ロールプランター®
植物由来のポリ乳酸(PLA)繊維を筒状にした農業資材で、東レのPLA繊維をミツカワの技術で編んだもの。PLA繊維は紫外線に強く耐久性に優れているため植生に適しており、トウモロコシの澱粉から作られた繊維で最終的に水と二酸化炭素に分解されるため、環境への悪影響もない。

土を充填したロールプランター®を土地に並べ、プランターの間に種を蒔いて種子を根付かせる。ロールプランター®は保水性・通気性が高いため、根の温度が適正に保たれ、砂漠・荒廃地、コンクリート上でも農作物を育てることができる。また点滴灌漑システムと組み合わせ、水と肥料を効率的に供給することができる。

【活動内容】

2010年に展示会においてロールプランター®を紹介した際に、南アフリカ大使館関係者が本技術に着目し、現地のマインダンプにおいてロールプランター®を用いた小規模なデモ実験を実施、緑化に成功した。2012、2013年度経済産業省「途上国における適応対策への我が国企業の貢献可視化に向けた実現可能性調査」の採択事業。また、2013年よりUNDPの「包括的な市場の開発(IMD)プロジェクト」のもとで、ミツカワ、点滴潅漑システムを作るネタフィムジャパンと共同で「農業振興ビジネスモデル」を開発中。

南アフリカの各地でロールプランター®を設置した実証栽培を実施し、現地で製品の啓発活動を展開。マインダンプにおいては2016年よりバイオ燃料の原料となる環境ストレスに強いイネ科植物(ソルガム)の栽培を開始。将来的にバイオ燃料販売により住民の所得向上につながると期待している。また、ロールプランター®の編み機を南アフリカに納入し、現地で生産できる体制を構築。ミツカワの監督の下、機械操作やメンテナンス方法等を現地ワーカーに指導している。

【成功の要因・さらなる展開に向けた課題】

ロールプランター®によって植生が困難な砂漠や荒廃地等の土地が農地化・緑化できること、製品の設置や使用方法が容易であることが、現地のニーズに合致した。同国での事業を本格化するため、今後も継続的に現地政府・関係者への啓発活動を実施し、実証実験を重ねていくことが重要。また同様の課題を抱える他のアフリカ諸国での展開を目指す。

  • (上)マインダンプに設置されたロールプランター®、(下)緑化に成功したマインダンプ。ロールプランター®を格子状に設置することにより砂塵の飛散防止にもなる。
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