生産拠点での洪水・渇水対策

味の素株式会社

業種:製造業
更新日 2021年2月9日
掲載日 2018年7月25日
適応分野 自然災害・沿岸域 / 水環境・水資源 / 産業・経済活動

会社概要

味の素株式会社のロゴ

味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指している。

私たちは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現していく。

味の素グループの2019年度の売上高は1兆1,000億円。世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼる(2020年現在)。

気候変動による影響

企業にとって洪水や渇水は生産の停滞を招く可能性がある事象であり、味の素グループが短中長期の生産に影響を及ぼし得る事項として捉えている気候変動影響の物理的リスクのひとつである。
2011年10月から11月に、タイで発生した70年に一度の規模と言われる大洪水によって、味の素グループが現地に所有する5つの製造拠点が被災し、自社生産ができなくなる事態となった。

気候変動リスクに関する取組

味の素グループでは、タイでの洪水による生産拠点の被災経験から、操業と社会的影響面からの洪水リスクを認識し、全世界の工場のリスク評価を行う取組を進めている(図1)。また、今後起こり得る洪水に備え、配電盤等の工場の操業に重要な機械は工場の2階に設置したり、工場の周壁の高さをかさ上げしたりする等、様々な対策を取っている(図2)。また、今後、災害発生に伴いサプライチェーンの分断が生じることを想定し、倉庫の大きさを考慮したり、燃料種を複数取り揃えること等も検討している。さらに、洪水発生時でも従業員が生活を確保でき、一人の従業員が複数の職場のオペレーション対応ができるようマルチスキルの取得を促進する等、緊急時の対応の強化を図る取組も行っている。

さらに、渇水の対策として、数週間程度の操業が可能な貯水池を設置したり、取水口の位置を下げたりという取組を行っている(図3)。ほか、渇水時の節水マニュアルを準備するなど、ハードおよびソフト面の対策を実施している。

効果/期待される効果等

生産拠点のある地域で洪水や渇水が起これば、生産の停滞を招きかねない。味の素グループは、このようなリスク対策を適応策のみならず水資源の保全の取組の一環に位置づけ、水源の森林整備や排水処理技術の開発等を通じて、持続的に水を利用できる環境の創出に貢献していく。

AQUEDUCTによる各工場の水リスク評価の事例
図1 AQUEDUCTによる各工場の水リスク評価の事例
洪水対策の取組事例(配電盤を工場の2階に設置し、工場の周壁の高さをかさ上げした様子)
図2 洪水対策の取組事例(配電盤を工場の2階に設置し、工場の周壁の高さをかさ上げした様子)
渇水対策の取組事例(数週間にわたり操業可能な貯水池の設置、取水口位置を下げた様子)
図3 渇水対策の取組事例(数週間にわたり操業可能な貯水池の設置、取水口位置を下げた様子)

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