熱中症対策を実現するクラウド型システム「SisMil(シスミル)」

株式会社オーク情報システム

業種:情報通信業
掲載日 2022年10月24日
適応分野 健康 / 産業・経済活動

会社概要

株式会社オーク情報システムロゴ

株式会社オーク情報システムは、株式会社大林組の情報関係子会社2社が2002年10月に合併したIT企業。以来、大林グループの情報基盤を支え、建設事業の発展とIT の進化に合わせて、システムの企画・構想から開発、運用・保守に至るまで総合的なサービスを提供する多彩な技術者集団へと成長している。

気候変動による影響

昨今の地球温暖化による気温上昇に伴い、熱中症リスクは年々増加傾向にある。熱中症は、対応が遅れると命に関わるため、熱中症リスクの高い労働環境の早期発見・伝達が効果的である。熱中症リスクを適切に判断するには、活動量や着衣量、暑熱順化等、予め定められた基準値を考慮したうえで「暑さ指数(WBGT)(注1)」をタイムリーかつ連続的に測定することが必要である。さらに、熱中症リスク低減のため、従業員や作業員への早期伝達手段は複数備えておくことも重要である。

適応に関する取り組み

当社は、WBGT等のさまざまな環境測定値を一元管理できるクラウド型システム「SisMil(注2)」を提供している。「SisMil」は、累計約1,200か所以上(注3)の工事現場で利用されているほか、工場・物流倉庫・スポーツ施設・学校でも活用されている。この「SisMil」には以下の4つの特徴を有する。

(1)JIS準拠の計測システム
 ハードウェア機器は、日本産業規格JIS B 7922(注4) に準拠した子機(センサー)と、親機(ゲートウェイ)で構成される(図1)。子機は、定期的に自動計測したデータ(温湿度、黒球温度)をLoRa無線(注5)で親機に送信する。親機は、受信したデータをLTEや有線LAN(Ethernet)を使ってクラウドへ送信する。クラウドは、受信したデータからWBGTを算出し、管理する(図2)。

(2)計測データの一元管理
 複数箇所の計測データをクラウドで一元管理できるため、スマートフォンやタブレットでWBGTや危険度を確認できる。クラウド管理機能(図3)は、下記の通りである。

  • ① 計測場所の複数管理
  • ② 子機(計測箇所)ごとの「WBGT」と「基準値を比較した超過度合」の色分け表示
  • ③ ・JIS Z 8504(注6)に対応した条件設定(身体作業強度、熱への慣れ、着衣の種類、フードの有無)
      ・子機ごとのWBGT指針の選択(作業者/日常生活/運動に関する指針)
  • ④ ・③の条件設定に応じたWBGT基準値の自動設定
      ・条件に合わせたアラートメールの配信
      ・計測結果のダウンロード機能(CSV、EXCEL)
      ・死活監視機能(子機):一定時間未動作の場合、監視通知メールの配信

(3)様々な方法によるWBGTの危険度通知
 メール配信機能やサイネージ表示連携機能(図4)、積層表示灯連携があり、クラウド画面を利用しない利用者へWBGTの危険度を通知することが可能である。

(4)CO2濃度等のセンサーを接続可能
 他のセンサー機器を「SisMil」に接続し、WBGT以外の環境指数も併せて管理することが可能である。

効果/期待される効果等

「SisMil」により、測定箇所の状況に即した危険度を把握し、状況の変化に合わせた予防行動を促せることから熱中症の未然防止が期待できる。また、自動計測とクラウドの一元管理は、計測と集計作業の省力化に繋がる。
計測結果のダウンロード機能を利用すれば、WBGTを分析し行動計画(危険になると予想される時間帯は活動しない等)に反映することが可能となる。

機器構成
図1 機器構成
システム構成例
図2 システム構成例
クラウド画面
図3 クラウド画面
サイネージ表示連携機能
図4 サイネージ表示連携機能

脚注
(注1) 暑さ指数(WBGT)  人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標
(注2) NETIS登録番号:KT-220185-A 技術名称:環境モニタリングクラウド「SisMil」(https://www.oakis.co.jp/news/2023/20230213_1.html
(注3) 2022年9月時点
(注4) JIS B 7922 電子式のWBGT指数計について、信頼性や精度を保つ為に制定された日本産業規格
(注5) LoRa 省電力で広いエリアをカバーする無線通信規格の一つ
(注6) JIS Z 8504 作業者の作業内容や労働環境等の条件に応じたWBGT基準値を制定した日本産業規格(2021年4月改定版)

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