KE4CAPイベント「気候変動適応に関する意見交換会:ヨーロッパ-日本」開催報告

開催日 2021年6月29、30日 日本標準時間16:30~19:00
場所 オンライン開催

EU・日本間のオンライン意見交換会「世界・国・地方の適応行動の連携強化」が2021年6月29日、30日に開催されました。

このイベントは、欧州委員会が出資する、欧州諸国と他の主要経済大国間の連携促進を目的としたコンソーシアム事業「Stepping Up Knowledge Exchange between Climate Adaptation Knowledge Platforms (KE4CAP))が企画したもので、日本の国立環境研究所(NIES)に属する気候変動適応センター(CCCA)が主催しました。

両日とも、ヨーロッパや日本、アジア太平洋地域及びカナダなど、世界各国からおよそ50人がイベントに参加しました。私たちに協力し、講演や討論に貴重な情報を提供したくださった全ての講演者、参加者に感謝の意を表します。

イベント2の集合写真
(この写真には参加者の半数しか写っておりません。AP-PLATは、残りの半数が移る2つ目のオンラインミーティング画面を保存し損なってしまったことをお詫び申し上げます。)

プログラムはイベント1(6月29日)、イベント2(6月30日)に分けて行われました。
イベント1は「国と地域の適応プラットフォームの連携による適応活動の支援のあり方」、イベント2は「国際プラットフォームとアジア太平洋地域のプラットフォームの連携の可能性を探る」をテーマとしています。双方とも気候適応知識プラットフォームを扱ったものでしたが、重点を置く内容がそれぞれ異なるものでした。

2つのイベントが主眼をおく分野は異なっていた一方、共通点も多々あり、多くの方々が両方に参加されました。KE4CAPの素晴らしいファシリテーターと熱心な講演者、及び参加者の皆様のおかげで、オンラインでの議論もチャットもとても活発で有意義なものとなりました。チャットにおける英語と日本語の通訳は、正確さとスピードを確保するため、AP-PLATのスタッフが人力とソフトウェアを合わせて用い、ほぼリアルタイムで行いました。

このイベントの目的の1つは、国、及び国際プラットフォームについて日本が取っているアプローチを学ぶことでした。日本は、国内の確立されたプラットフォームであるA-PLATと、アジア太平洋地域の国際プラットフォームである新しく意欲的なAP-PLATを紹介しました。

プログラム概要

イベント1は肱岡靖明(CCCA副センター長)及びロジャー・ストリート氏(KE4CAP)の温かい歓迎の言葉で始まり、高橋一彰氏(日本環境省気候変動適応室)により日本の気候変動適応政策・事業の概観が示されました。また、真砂佳史(CCCA適応戦略研究室長)はCCCAの適応の取り組みの紹介を行いました。ヨーロッパにおけるイニシアティブとしては、キム・ヴァン・ニューアール氏(KE4CAP)がオランダのクライメート・アダプテーション・サービスの活動の概観を述べ、バリー・オドワイヤ氏(KE4CAP)がクライメート・アイルランドの取り組みを紹介しました。いずれも地域と国の適応活動の連携の観点に重点を置いたものでした。
2つの統合討論では、日本の地域適応センターからの質問が事前に集められ、講演者に共有されていました。これが司会を務めたキム氏とロジャー氏の優れた進行技術と相まって、重要な見解に満ちた活発な議論となりました。ここで何度も指摘されたトピックの1つが、エンドユーザーが必ずしも何が真に必要かを理解しているとは限らないことを考慮しつつ、彼らと直接協力し、そのフィードバックをプラットフォームの発展に組み込む必要性です。

肱岡とキム氏の開会宣言から始まったイベント2では、増冨祐司(CCCAアジア太平洋気候変動適応研究室長)がA-PLATとAP-PLATの背景を、そして岡和孝(CCCA適応戦略研究室主任研究員)がその内容を説明しました。続いて、アジア太平洋地域におけるいくつかのプラットフォーム及び組織の活動紹介として、オーストラリアのCISRO(ジェフ・ゴーレイ氏)、サモアを中心に広く太平洋地域を取り扱うPCCC/SPREP(イヴェット・カーズレイク氏)、フィリピンのeCCETとオスカーMロペスセンター(ペルピ・チョンソン氏)、韓国のKACCC(ヨンイル・ソン氏)、及び台湾のTCCIP(チア-ウェイ(ジョイス) チャン氏)から講演いただきました。講演者はアジア太平洋地域の他のプラットフォームとの連携に関する利点や課題、見解といった考え方の共有に焦点を当てていました。討論では、参加者から特にヨーロッパやカナダにおける適応のネットワークに関して、更なる意見が得られました。
イベント2で度々議論に上がった点として、近年の気候適応プラットフォームの世界的な急増がありました。これは、ユーザーはどのプラットフォームを使って情報を収集すればよいか迷うことになります。一般的には、もし私たちがプラットフォームを実際の適応行動支援に貢献させたいのであれば、より少ない、しかしよく作られ、より統合されたものが必要と考えます。アジア太平洋地域の国際プラットフォームであろうとするAP-PLATにとって、この地域での本当に有効なワンストップなプラットフォームとなるにあたり、これは大きな課題となると考えています。

(2021年8月2日掲載)

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