極早生みかんからレモンへの転換

掲載日 2023年7月19日
分野 農業・林業・水産業
地域名 中国四国(広島県)

気候変動による影響

広島県の年平均気温は、100年あたり1.5℃の割合で上昇しています。これは日本の平均値(100年あたり1.24℃)よりも高い値です(注1)。このような気温上昇に伴い、広島市の真夏日、猛暑日、熱帯夜の年間日数は1980年代後半から増加しています(注2)。

気温上昇に伴い、温州みかんが有名な瀬戸内沿岸島しょ部のかんきつ産地では、昼夜の温度差が小さく、夜温が高い場合には果実の着色が進みにくくなり、収穫・出荷時期の遅延と販売時期のズレが生じ、収益性が低下しています。

取り組み

広島県では、かんきつ類の生産を、収益性が低下している極早生みかんから、販売上、果実の着色が問題とならない県特産のレモンへ転換し、レモンの生産量を大幅に拡大する取組を推進しています(図)。

この拡大に際し広島県は、2014年11月に策定した農林水産分野に関する計画「2020広島県農林水産業チャレンジプラン アクションプログラム」の中で、下記の通り目標や取組を定めています。

  • 第Ⅰ期(2015-2017年度):温州みかんからレモンに重点を移し、中晩柑なども含めたかんきつ複合経営モデルの構築を推進
  • 第Ⅱ期(2018-2020年度):レモンの販売額22億円を目指す「レモン22億円産地」計画の実現、かんきつ流通体制整備による販売力の強化

このような目標に対し、具体的な取組として、大苗育苗、大規模農業団地の整備の推進やレモンの栽培面積拡大の促進などの基盤整備、貯蔵・包装技術の開発による周年供給体制の整備、担い手の規模拡大や農業法人の設立などの生産体制の構築を行いました。

効果/期待される効果等

広島県におけるレモンの栽培面積は徐々に拡大しており、寒波による落ち込みがありつつも、2019年度における生産量は過去6年間で最大となりました。また、貯蔵・包装技術の開発により、6月から8月にかけて個包装したレモンの出荷が可能になり、年間を通じた供給体制が整いました。

安全安心な国産レモンは高いニーズがあるため、年間を通じた供給体制や栽培面積の拡大により、広島県産レモンの国内におけるシェア拡大が期待されます。

広島県で生産されているレモン。
図 広島県で生産されているレモン
(出典:広島県ウェブページ 「瀬戸内広島レモンとは」)

脚注
(注1)観測期間:1879年-2021年
(注2)真夏日:日最高気温30℃以上、猛暑日:日最高気温35℃以上、熱帯夜:日最低気温25℃以上

出典・関連情報

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