温暖な気候を活かした亜熱帯果樹アテモヤの安定生産

掲載日 2023年7月6日
分野 農業・林業・水産業
地域名 中部(三重県)

気候変動による影響

三重県津市の気温は、100年あたり1.8℃上昇しています(注1)。また、その影響から真夏日は100年あたり14.3日、猛暑日は100年あたり4.3日増加しています。

三重県東紀州地域ではかんきつ類の栽培が盛んですが、気温上昇によって温州みかんの栽培適地が北上してしまうなどの影響が予測されています。

取り組み

三重県農業研究所では、地球温暖化が進行する中、農家経営の補完品目の1つとして亜熱帯性果樹の特産品化を目指した「アテモヤ(注2)」を取り上げ、栽培適応性や栽培方法について研究・検討を行いました。その結果、2004年に、ピンクス・マンモスとヒラリー・ホワイトという品種のアテモヤは(図)、冬季の加温ができるハウス施設であれば、十分栽培できることが分かりました。

この成果にもとづき、現在では県内各地でアテモヤが栽培されています。三重県では、2011年には生産者の連絡会が設立されて、栽培に関する情報の共有や技術研鑽が行われました。さらに2013年10月には出荷組合が設立され、販売体制が強化されました。また、同年と2016年度の三重県の地域活性化プラン(注3)の中で、アテモヤの販路の拡大やアテモヤ特産化よる地域活性化が検討され、ポータルサイトの試作や販材資材の検討などが行われました。

効果/期待される効果等

気候変動によって、三重県においても栽培が盛んな温州みかんの栽培適地の変化が予測される中で、アテモヤの栽培は農家経営の補完品目の1つとなる可能性があります。

アテモヤ(左:ヒラリー・ホワイト、中・右:ピンクス・マンモス)
図 アテモヤ(左:ヒラリー・ホワイト、中・右:ピンクス・マンモス)
(出典:三重県ウェブページ「研究成果の紹介 亜熱帯性果樹アテモヤ品種による樹上着生日数と収穫期」)

脚注
(注1)観測期間:1890-2021
(注2)アテモヤ:オーストラリア原産で、森のアイスクリームと称される濃厚でクリーミーなバニラのような風味がある果物
(注3)「三重県食を担う農業及び農村の活性化に関する条例」第24条の規定に基づいて定められる、集落や産地等の活性化に向けた地域の活動計画

出典・関連情報

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