群馬県のリンゴ産地における気象変動適応策の取り組み

掲載日 2023年7月24日
分野 農業・林業・水産業
地域名 関東(群馬県)

気候変動による影響

群馬県のリンゴの主な産地は、県北部に位置する利根沼田地域です。その中でも南部に位置する沼田市の平均気温は11.7℃であり、リンゴの適地(6~14℃)の中では、やや温暖地に属しています。1978年から2020年までの観測によると、沼田市の平均気温・平均最高気温は上昇傾向にあり、既に果皮の着色不良や日焼け果の発生等の高温による影響を受け始めています。

取り組み

沼田市を含め群馬県では、高温等による気候変動影響に対して、既に以下のような対策を実施しています。

気候変動影響① 果皮の着色不良

  1. 着色の容易な品種の導入:8月下旬~9月上旬に収穫する早生品種である「おぜの紅」を導入しました。栽培及び鮮度保持処理方法についても既に確立しています。
  2. 着色管理を省力化できる黄色品種の導入:県育成品種「ぐんま名月」を導入しました(図1)。

気候変動影響② 虫害の多発

  1. シンクイムシ類の防除手法確立:2008年12月に沼田市で初めて確認された「スモモヒメシンクイ(GlapholitadimorphaKomai)」 による果実被害をうけ、発生時期を特定のうえ薬剤散布等による防除手法を確立しました。普及指導機関より防除講習会も実施しています。
  2. ハダニ類の防除手法検討:ハダニ類は地域により優占種が異なりますが、化学農薬を使用すると抵抗性を持つ集団が発生する恐れがあります。現在は主に気門封鎖剤による防除を行っています。

気候変動影響③ 日焼け果の発生

  1. 果実の日焼け対策:白色化学繊維布の被袋による日焼け防止を実施しています。南側の果実に被袋することで日焼けを防ぐことができます(図2)。

効果/期待される効果等

群馬県では、今後も対策技術の導入を進めるとともに、高温でも着色しやすい品種の導入や、りんごの「ぐんま名月」等黄色系品種の普及を進める予定です。 また、凍霜害対策や、炭疽病・褐斑病等の病害虫防除対策へも取り組んでいきます。

県育成品種「ぐんま名月」
図1 県育成品種「ぐんま名月」
(出典:地域における気候変動適応実践セミナー 資料5「群馬県のリンゴ産地における気象変動適応策の取り組み(群馬県農業技術センター 中山間地園芸研究センター)(令和4年1月20日)」)
白色化学繊維布の被袋による日焼け防止
図2 白色化学繊維布の被袋による日焼け防止
(出典:地域における気候変動適応実践セミナー 資料5「群馬県のリンゴ産地における気象変動適応策の取り組み(群馬県農業技術センター 中山間地園芸研究センター)(令和4年1月20日)」)

出典・関連情報

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